＜サイパン＞弁護士「IPI社は裁判所の命令に何度も背いている」
インペリアル・パシフィック・インターナショナル・エルエルシー（IMPERIAL Pacific International LLC）は、デフォルト（債務不履行）判決を無効にする根拠を示していないとして、弁護士のブルース・バーライン（Bruce Berline）氏はIPIのデフォルト（債務不履行）判決を無効にする申し立てに意義を唱えました。
バーライン弁護士は、差別の申し立てによりカジノ投資家を訴えたIPIの元従業員、ジョシュア・グレイ氏の代理人を務めています。
2021年4月、NMI地方裁判所のラモナV. マングローニャ首席判事は、IPIの回答を取り消す命令を出し、裁判所準判事のヘザー・ケネディ氏に、過去の開示命令に従わなかった被告に対してデフォルト（債務不履行）を行うよう指示しました。
デフォルト（債務不履行）とは、原告が勝訴したものの、損害に対する金銭的補償の問題を解決していないことを意味します。
2021年7月8日、スティーブン・ナッティング弁護士が代表を務めるIPI社は、連邦訴訟規則第55条（c）に基づき、デフォルト判決を無効にする申し立てを行いました。
バーライン弁護士はこの申し立てに対する反対意見の中で、「IPI社は、証拠開示義務を何度も怠り、当裁判所の証拠開示命令に何度も従いませんでした。当裁判所は、IPIが裁判所の開示命令に従わないことが続くと、債務不履行に陥ると繰り返し警告しました。このような警告にもかかわらず、IPI社は裁判所の開示命令に従いませんでした。裁判所は、IPI社の違反が故意であると認めた結果、IPI社の答弁書を取り消すとともに、IPI社に対して債務不履行判決を適用しました」と述べています。
現在までに、IPI社は2020年7月17日に原告が要求した以下の証拠開示を提出していないとのことです。(1)2015年2月1日から2019年2月28日までにIPIのディレクター職以上のビザを申請した全ての申請者のCW-1およびH-1Bの初回および更新ビザ申請を含む全てのUSCISビザ申請書、(2)全てのIPIの人事研修資料、(3)IPIのフローティングホテルプロジェクトに関する文書。
バーライン氏によると、IPIの弁護士は、本法廷から2度にわたって命じられたにもかかわらず、「IPIが電子保存情報（Electronically Stored Information）またはESIおよび原告の証拠開示に対応する書面での文書を検索するために行ったすべての努力、検索した場所と情報源、検索を行った人、どのようなESIおよび文書証拠開示が収集され、原告に提出されたかを明確に示す宣言書を、この問題で一度も提出していない」としています。
最終的に、IPI社は2021年7月8日に本法廷が命じた原告の弁護士費用の支払いを怠っていると同氏は付け加えました。
「本法廷は、IPIに対し、命令の日から30日以内または8月9日までに、原告に19,616.25ドルの報酬と費用を支払うよう命じました。現在まで、原告はこれらの手数料および費用を受け取っていません」とバーライン氏は述べています。
「IPI社がこの裁判所の開示命令に従わないことは、意図的であるだけでなく、IPI社の従わない意図は裁判所によって推定される可能性があります」と同氏は付け加えました。
「IPI社は大規模で洗練された企業であり、この訴訟やその他の訴訟の代理人として多数の弁護士を雇用しています。IPI社は、ここサイパンで大規模なビジネスを展開しています。IPIは、ガラパンの中心部に巨大なカジノ・ホテルプロジェクトを建設し、カジノ建設に関連して巨額の資金を投じ、何千人もの人々を雇用し、サイパンのビジネスのほぼすべての側面に浸透しています。IPIは、過去1年半の間、証拠開示への参加を完全に拒否したことは故意ではないと主張して、本法廷で下された不履行申し立てを無効にしたいと考えていますが、本法廷はIPIが不履行申し立てを行った際に故意に行動したと認定しています」とバーライン氏は述べています。
「IPI社は、Fed.R. Civ. P.55(c)に基づいて不履行を無効にする正当な理由を示す責任を、IPI社は完全に果たすことができず、その申し立ては却下されるべきです」と同氏は付け加えました。
ESI
Berline氏は、IPI社が従業員との主要なコミュニケーション手段としてWeChatと電子メールを使用していたことを考えると、ESIはこの訴訟において極めて重要であると述べています。
バーライン弁護士は申し立ての中で、「IPIは、1テラバイト以上のESIを含む証拠開示物には、IPIが人種や国籍を理由にグレイ氏を解雇しようとしたこと、および／または、IPI側の違法な雇用慣行の疑いに対するグレイ氏の継続的な苦情を示す証拠は全く含まれていないと、大胆かつ自信を持って主張しています」と述べました。
バーライン氏によると、以前の法廷審問で、「ナッティング弁護士は、要求されたESIについて議論しているときに、『もし人種差別の決定的な証拠を探しているなら、通常の業務では保管されていないだろうから、どこかにあるだろう』と法廷に言った」としています。
バーライン氏はさらに、「法廷での後者の発言が真実であり、正しいものであることがわかりました。IPI社がハードディスクを提供したとき、グレイ氏はESIデータを確認しようとする不可能に近い作業を始めました」と付け加えました。
「グレイ氏は、（当時IPIの法律顧問であった）Kelly Butcher氏の携帯電話にある49,000ページのレポートを検索することから始めました。その理由は、適切なプログラム（例：閲覧する電子メールごとにMicrosoft Outlook）にアップロードしなければならない他のドキュメントとは異なり、そのドキュメントでは簡単な単語検索を行うことができたからです」同氏は述べています。
ブッチャー氏の携帯電話のレポートを検索している間に、グレイ氏は最終的に2019年1月24日付けで、ブッチャー氏とIPIの別の法律顧問であるヴィオラ・アレプヨ氏との間で交わされたテキスト・メッセージのやり取りを見つけたとバーライン弁護士は述べています。
バーライン弁護士によると、そのテキストのやりとりは次のようなものでした。
ケリー・ブッチャー：「私たちは今日、ジョシュに彼の任期を与えます…(絵文字)」
ヴィオラ・アレプヨ：「なんですって???!!!なぜ?!!!!」
ケリー・ブッチャー：「パー・ジと新委員長のママ・ジ……『なぜ太った黒人がまだここにいるんだ！？彼は何もしない！！』……MAB（当時のIPI CEOマークA.ブラウン）は、戦おうとしていたが、もうできないと言っていた……」
ヴィオラ・アレプヨ：「ジーザス！！」。
Berline弁護士は、Gray氏がさらに検索したところ、2019年1月23日付けのMark A. Brown氏とKelley Butcher氏の間のテキストのやり取りが明らかになったと述べています。
バーライン弁護士は、このテキストのやりとりについて、「マーク・ブラウン氏がグレイ氏の仕事を救おうとしていることを明らかにしているが、同時に、IPIがドナルド・ブラウンに行ったように、グレイ氏の地位と給与のリストラを提案しようとすることで、グレイ氏の差別的解雇を曖昧にしようとするIPIの戦略も明らかにしてい」と述べています。
バーライン氏によると、グレイ氏はブッチャー氏とIPIのもう一人の元弁護士であるフィル・タイディンコ氏との間で交わされた2019年4月14日付のテキストのやり取りも見つけたといいます。
「ブッチャー氏はタイディンコ氏に、『ワイルドビルでジョシュ・グレイに出会ったばかりで、どうやら彼の会社に対する訴訟は月曜日に送達されるらしい！』と伝えている」
Tydingco氏は「素敵ですね」と答えました。その後、ブッチャー氏は「フィッツジェラルド」とメールして、グレイ氏の代理人である弁護士を特定したようです。Tydingco氏は『そうだ、EEO雇用機会均等法（Equal Employment Opportunity）について準備しておいた方が良い』と述べています。そしてブッチャー氏はこう述べています。差別になると思うか？何に対して？太っていて、黒人だと？（笑う絵文字2つ）』
Berline氏は、これらのテキストのやり取りが「この問題におけるESIの重要性を示している」と述べました。
彼はまた、原告は『漁夫の利を得ようとしている』のであり、『差別の主張を裏付ける何らかの証拠を提出するまでは続けることを許されるべきではない』というIPIの根拠のない主張を否定するものである」と付け加えています。
バーライン氏は、「本件のESIには、グレイ氏が訴状で主張していること、すなわちIPIが組織的に米国人労働者を中国人労働者に置き換え、差別的な理由に基づいて解雇していたことを裏付ける複数の決定的な証拠が含まれています」と述べています。
「ESIの中には間違いなくもっと多くの決定的証拠があるとバーライン氏は付け加えて、「しかし、IPIは今日までESIをESIプラットフォームに置くことを拒否しているため、原告がESIデータの大部分を検索することができません」と述べました。
グレイ氏は、人種に基づく差別と、雇用慣行に対する苦情に対する報復行為を理由にIPIを訴えました。
グレイ氏は、裁判所が適切と判断する損害賠償およびその他の救済を与える命令を出すよう求めました。
バーライン氏の他にも、グレイ氏はウィリアム・フィッツジェラルド弁護士が担当しています。
